「まつり旅」を通じて

いっぽうで、地方には本や書店のために何かしたいという思いを抱いている企業家が、けっして少なくない。そのことを、私は「まつり旅」(※直木賞受賞後、全国の書店や学校図書館を巡った旅)を通じて感じました。行く先々で、そのような経営者と出会いました。

みなさん、「出版の世界は大変らしいけど、自分にも何かできることはないか」と口を揃えておっしゃった。私は、佐賀之書店の名物店長・本間悠(はるか)さんからシェア型書店について聞いた時、思い浮かんだのはこの人たちの顔です。そして、「これは、いけるかも」と思った。要は、地方の企業に、CSR(社会貢献活動)として書店の運営に協力してもらうわけです。

『書店を守れ!』(著:今村翔吾/祥伝社)

中小企業のオーナーさんのなかには、「地域新聞」のようなフリーペーパーや商工会議所が発行しているお便りなどに、先代からの義理などから、数万円の広告を出稿している方もいます。ならば、シェア型書店で月に1万円の棚を借りてもらうのは、大きな負担にはならないのではないかと考えました。棚を広告媒体として利用したり、社長のメッセージを伝えたり、採用活動の一助にしてもらったりする。もちろん、棚に並べるのは書籍のみ、というルールは守っていただきますが、あとは自由に使ってもらえばいい。

こうして、月1万円の棚代を支払ってくれる企業を20社見つけることができれば、毎月20万円の安定収入が見込めます。地方都市の30坪程度の書店であれば、それだけで家賃がまかなえる可能性もあります。