4日目は、新しいレンタカーで「イタリアで一番美しい村」のひとつといわれるボルテッラを訪れることに。中世の街並みがそのまま残されているきれいな景観に、どれほど慰められたことか。途中でガソリンを入れたが、カードが使えず現金が必要になったため、娘夫婦は私を車に残して、街の中心部のATMに向かった。
ところが2人はなかなか帰ってこない。またまた災難に見舞われ、カードがATMの機械に吸い込まれたまま、お金も出てこなくなってしまったのだ。近くの人に助けを求めると、エレーナさんという女性と10人くらいの人たちが親身になって打開策を考えてくれたそう。
そしてATMの会社に連絡がつき、翌日にはカードを取り出してくれることに。エレーナさんは、とりあえず未払いのガソリン代と、当面必要と思われる額を貸してくれると申し出てくれた。娘夫婦は2度目の地獄を見たが、ボルテッラの人々の善意の嵐に心揺さぶられる体験だっただろう。
結局、カードを取り出すのは手続き上無理だという結論になったが、それを受けて、エレーナさんはさらなる金額を貸してくれたのだ。お金が戻ってくる保証は何もないのに、無償の愛に触れた私は、涙を禁じえなかった。
恐怖と絶望の先で出会った、人々の善意と献身、その感動を3人で共有したことで、さらに深く結ばれた絆。失った物以上の財産を得た今回の旅であった。あのボルテッラのきれいな風景とともに、人々の美しい心を決して忘れない。