現場で言われた「無能な頷き役」

ところが、いざ仕事をしてみると、いまで言うパワハラの嵐に辟易する。現場では毎日のように怒鳴られ、「無能な頷き役」と揶揄する声も耳に入ってきた。

「親の七光りで仕事を始めたこともあるし、とにかく何度も辞めたいと思いましたよ。だけど、一つの番組が終わったら、また次の番組からお声がけいただいたり、文章を書いてみると連載の打診があって編集長が男前だったから受けてしまったり、とにかく恵まれているとしか言いようがない」

『女の“変さ値”』(著:鎌田實/潮出版社)

仕事に関して自分の意志はほとんどなかった。時は男女雇用機会均等法の施行(1986年)もあって、女性の自立が促された時代である。それでも、自発的にやりたいことは特に見つからず、父親やプロデューサーからは「専門を持て」と何度も説教を食らった。

「でも、『女は馬鹿だ』って言われて育ってきてますからね。馬鹿のまんま安穏と生きているほうが楽だったんです」