状況を好転させるためには

中満さんの30年以上に及ぶ国際社会での経験を通して見ても、現在のような危機的な状況は「見たことがない」と言っていたことが印象的だった。「20代の2人の娘たちの世代の将来のためにも、少しでも状況を好転させたい」という言葉からは、本然的に平和を希求する母親の顔が垣間見えた気がする。

では、状況を好転させるためには、具体的に何が必要なのだろうか。

鎌田實
鎌田實先生(写真提供:潮出版社)

「国際的な協力です。これまで人類が経験してこなかったリスクに対しては、一国もしくは主要国だけでは対応しきれません。現下の分断の構図はなんとしても乗り越えなければならないのです。そのときに重要な役割を果たすべきなのは国連です。

国連とは、私たち事務局だけを指しているのではありません。加盟国である193カ国のすべての国々が国連なんです。私たち事務局の立場は、あくまでその後押しで、当事者同士では難しい対話の橋渡しをしたり、オプションを提示したりするというものです。いまこそ加盟国と事務局の共同作業が必要だと思います」