被災地でかけられた予期せぬ言葉
福島の被災者一人一人の手を握り、肩を抱いて「ご不自由はありませんか。頑張ってください──」と声をかける大臣たちの後ろについて、村木さんも被災地を回った。
当時の村木さんは、不条理な冤罪事件によっていわば“時の人”だった。意外なことに、避難所の人々は口々に村木さんに声をかけたという。あ、村木さんだ。無罪でよかったね。頑張ってね──。
「皆さん、そう言ってくださったんですが、いやいや違うだろうと。私が励まされてしまったらいけないと。だけど、東京に戻ってそのときのことを弁護士の堀田力さんに話したら、思いがけないことを言われたんです。
『村木さんはいいことをした。東北の人は1カ月間、ずっと励まされて、慰められて、支えられてきた。人間っていうのはそれだけでは元気になれないんだ。村木さんを励ますことで、ちょっとだけ元気になれたはずだよ』と」
さすが堀田力さんだ。僕も堀田さんの意見に100%同意する。
