人々の善性を引き出す力
この話には後日談がある。職場に復帰した村木さんは、あるときに法務省の人にお礼を言う機会がなかった旨を話した。すると、しばらく経ってから、近畿地方女子刑務職員研修会なる会合に講師として呼ばれたのだ。会場に足を運んでみると、拘置所でお世話になった職員が参加していた。
「面会に来てくれた娘と馬鹿話をしている最中、ずっと笑いを堪えていた職員の方とかもおられたりしてね。法務省ってとてもお堅いイメージがありますけど、粋なこともしてくれるんだということが分かりました。本当にありがたかったです」
僕の見方は少し違う。お堅い法務省に粋なことをさせたのは、村木さんの優れた人格だと思うのだ。村木さんには、人々の善性を引き出す力があるのではないだろうか。
※本稿は、『女の“変さ値”』(潮出版社)の一部を再編集したものです。
『女の“変さ値”』(著:鎌田實/潮出版社)
人とは違う自分らしさやユーモアを武器に、人生を切り拓いてきた10名の女性たち。
華やかな経歴の背景には、それぞれが悩み、葛藤しながらも乗り越えてきた「ガラスの天井」があった。
本書では、女性ゲストの人生の軌跡を医師・カマタならではの温かな視点で紐解いていく。





