人々の善性を引き出す力

この話には後日談がある。職場に復帰した村木さんは、あるときに法務省の人にお礼を言う機会がなかった旨を話した。すると、しばらく経ってから、近畿地方女子刑務職員研修会なる会合に講師として呼ばれたのだ。会場に足を運んでみると、拘置所でお世話になった職員が参加していた。

「面会に来てくれた娘と馬鹿話をしている最中、ずっと笑いを堪えていた職員の方とかもおられたりしてね。法務省ってとてもお堅いイメージがありますけど、粋なこともしてくれるんだということが分かりました。本当にありがたかったです」

僕の見方は少し違う。お堅い法務省に粋なことをさせたのは、村木さんの優れた人格だと思うのだ。村木さんには、人々の善性を引き出す力があるのではないだろうか。

※本稿は、『女の“変さ値”』(潮出版社)の一部を再編集したものです。

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