noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬についてのエトセトラ」。第24回は「母親を正しく愛し、愛されて、感謝できる人に私は嫉妬する」です
私は母を真っ直ぐに愛せていない
大好きな作家さんが、亡くなった母親との思い出を綴ったエッセイを読んで、私はたまらずメールを送った。
「ご冥福をお祈りします。あなたのお母さんはきっと幸せだったはずです」と。
メールを打ちながら、私は、確かに泣いていた。少しでもその作家さんを励ましたいと思ったし、彼らの真っ直ぐで深い愛に心が震えていた。けれど、送信ボタンを押した瞬間に、猛烈な吐き気が襲ってきた。
―お前が、どの口でそれを言うのか。
母の死、母の日、母との宝物のような想い出。人の母親とのエピソードは大抵どれもあたたかく、美しく、尊く、人間の揺るぎない愛の根源のような確かさがある。
他人の母親とのエピソードに深く感動し、涙することはあっても、次の瞬間ハッと我にかえる。私は、こんな風に母を真っ直ぐに愛せていない。
母は、エホバの証人だった。
