看護服をまとって
<『風、薫る』のメインビジュアルは白い看護服をまとったりんと直美が軽やかに前に飛び出す瞬間を捉えたものだ。時代が大きく変わっていく空気は、衣装からも感じられる>
りんと直美が生きていた明治時代は、まだみんなお着物をあたり前に着ていたし、りんは日本髪でした。それが、看護婦を目指すことになり、服も髪型も変化していきます。
髪の清潔さは看護の世界ではとても大切。直美以外の看護婦養成所の仲間は、厳しい家で育った女の子もいます。みんなで一斉に服や髪型を変えるシーンの撮影をした時は衝撃でした。西洋の新しい価値観を取り入れる、これから看護の世界で生きていくぞという決意を表現した気合の入るシーンだったので、色濃く覚えています。
看護服は衣装さんが、1人1人の身体にぴったり合うように作ってくださいました。採寸の際に初めて袖を通したのですが、その時に「これから看護の仕事をしていく」という高揚感がありました。撮影が進み、りんとして完成した看護服の衣装をまとった時は「元武家の娘」として生きてきたりんとは違う、「看護の道で人のために生きていく」りんになったと強く感じました。
撮影に入る前から医療従事者の方のことは尊敬していましたが、実際にりんたちが看護婦養成所で学び始めてからは、よりリスペクトが増しました。一つのミスをも許されず、緊張感の中で看護とは何なのか、人としての正しさとは何か、を考えながら働くのはものすごいことだと感じています。