ぬいが湯につかる間は、息を止める
で、ぬいさんが、何となく納得してくれた処で、私はまた、とんでもないことを言います。
「そして、あなたを洗う為には、あなた全部に水を含ませる必要があるんです。そうしないと、あなたを、洗えない」
いや、そうなんですよ。ぬいが全部濡れていてくれないと、とってもそれは、洗いにくい。……というか……無理です。
この時、私は、押し切ります。
そして。
生まれて初めてお風呂にはいったぬいさんに、無理矢理。
「という訳で、私はあなたをお湯に漬けます。ごめん、息、止めててね。じゃあ、行きます! せーのってことで」
ここで私、そのぬいさんの全部を、お湯の中に漬けます。さすがに申し訳ないので、このぬいさんがお湯の中にいる間は、私は、息止めてます。私が息を止めていられないような時間、ぬいさんをお湯に漬ける訳にはいかないって思っています。
ぶくぶくぶく。
自分の息が苦しくなった頃、私はぬいさんをお湯からあげて、膝の上に載せて。
「じゃあ、洗うねー」
いやあ、自分でも酷いと思うよね。勝手にお風呂にいれることにして、実際に勝手にお風呂にいれて、ぬいさんにとっては初めてであるお湯の中に漬けて、水浸しにして。そんでもって、「じゃあ、洗うねー」って、私はどんなに勝手なことを言っているんでしょうか。でも、こうでもしないと、“洗えない”。
でも、ここまでくれば。多分、この後、ぬいさんにとって、そんなに辛いことはない……と……思いたい。
