人も触れられないサンクチュアリ
大慌てで補修しようとした私、とんでもないことに気がつきました。
わんわんさん。お年がお年。この胸の怪我も……どこかに引っかけて破けたっていうものじゃなくて……なんか、経年劣化で自然にどこかが破け、そして広がったものだって思える。
ぬいぐるみを繕う時。普通、その傷口の左右をあわせて、そこを針と糸で繕いますよね。けど……それをやると、そのぬいさんの、他の部分に、余計な力がかかってしまう。
お年を召したぬいぐるみにこれをやると……補修しようとしたせいで、他の処が破けてしまう可能性がある。
あるいは、他の処に力をかけないようにして、あて布をして、そこの部分だけ、繕うっていうやり方もある。でも、どっちにしても、ぬいさんに針を刺して、そして、ちょっとでも引っ張るっていう工程がある。
わんわんさん。あるいは、この工程に耐えられるぬいさんなのかも知れません。でも……万が一……耐えられないぬいさんだったら?
触ってみたら、わんわんさん、かなり布地が劣化していると思われました。
結果として。
サンクチュアリ。
うちには、わんわんさんをはじめとした、「怖いから補修がまったくできないぬい」がいる、祭壇のようなものがあります。
わんわんさんは、今ではうちのサンクチュアリにいます。
ここは、神棚の下でして、人間が触ってはいけない処です。
ただ、この子達。
私が死んだら、どうなるんだろう……?

