人間味あふれる記者に
初めての新聞記者役。撮影前に、制作側からは新聞社や取材先である大学の組織図など大量の資料を渡された。池田千尋監督からは、「ステレオタイプな新聞記者にしないでほしい」というリクエストがあり、人間味のあふれる女性記者を意識して演じた。
「菊乃は記者として、社会に理不尽なことをどうやって伝えていくか、使命にも似た熱い思いを持っている女性です。物語が進むなかでいろいろな出会いがあり、女子一律減点という理不尽な問題に立ち向かっている自分は正しいはずなのに、不安になる。自分の弱さを再確認してしまいます。短い間に感情が揺れ動く経験をしました」
印象に残っているのが、第1回の終盤、菊乃が「戦うために書きたい」と決意する場面だという。
「菊乃が何と戦っているのかというと、過去の自分だと思いました。菊乃がずっと我慢してきたものは、見る人によっては我慢ではなくて身を守るための勝手な行動だったのかもしれない。仕事の第一線で働くためには、常に疑問を持つよりも、どうやってその場を乗り越えるかを考えてきたことが多かったと思うんです。でも、そのままだと娘の世代の未来が明るいものにならないと思って、自分は戦いますと宣言したんだと思います」
菊乃は、鈴木保奈美さん演じる統和医大の理事・神林晴海が事件のカギを握ると感じ、取材を試みる。神林は男社会の医大で出世しているものの、事務畑出身。部下からの人望はあり、大学内にはびこる差別やハラスメントに憤りを感じてはいるが、スキャンダル報道による混乱は防がなければならない難しい立ち場だ。
入試での女子差別を報道したい菊乃と、問題を外に知られないようにしなければならない神林。言葉少ないながらも大学を守ろうとする神林の迫力と、必死に言葉を紡ぐ菊乃が対決するシーンはドラマのみどころの一つだ。
「監督から新鮮な気持ちで演じてほしいと言われていました。撮影に入る前に、本読みで保奈美さんとご一緒させていただいたんです。でも、撮影現場での保奈美さんは本読みの時とは全く違うお芝居で、新鮮な気持ちになりましたし、動きが加わるからかすごく説得力があったり、台本を越えて、お芝居を越えて松本若菜として感じる部分がたくさんありました。保奈美さんからいただいたパワーがきっと映像に出ていると思っています」