フォワードガイダンスはデフレ脱却に有効
最賃の先々の水準を約束することは、いわば賃金版の「フォワードガイダンス」だ。実は、このフォワードガイダンスは、人々の予想を望ましい方向に誘導する効果があるとの見方が、研究者の間で近年広がっている。
「将来、デフレ(=物価下落)が続く」という予想を人々が抱いているとしよう。放置すると、消費が萎縮し、デフレが本当に起きてしまう。常套手段は、中央銀行の金融緩和でデフレ予想を潰すということだ。しかし、しばらく前の日本がそうであったように、金利が既に下限であるゼロ%に近く、さらなる金融緩和が不可能ということがあり得る。
ではどうすればよいのか。ここで登場するのが最賃だ。
例えば、岸田首相がそうしたように、今後一定のペースで最賃を引き上げていくと政府が約束したとする。その約束の下では、最賃だけでなくその周辺の賃金も同様に上昇していくだろうと人々は予想する。これは明らかに物価下落の予想と矛盾する。すると人々は、物価が下落するという予想がそもそも間違っているのではないかと疑念を抱き始める。このようにしてデフレ予想を潰せる。