希少資源の価格は上がるという原理

山が多く平地が少ないために耕作や工場建設などに使える土地が限られている、つまり、土地が希少資源という国があったとしよう。容易に想像がつくように、その国の地代はそれ以外の国と比べて高くなる。

希少資源の価格(正確には実質価格)は高くなるというのが経済学の基本的な知見だ。人口減の日本で希少資源は労働力だ。

しかも、昨今の人手不足が示すように、労働力の希少性は一層高まっている。長い目でみると、労働の値段である実質賃金が高まるのは必然だ。「好循環」が胸突き八丁に差し掛かっているのは事実だが、ここを乗り切れば一気に視界が開けると期待したい。

※本稿は、『インフレの時代-賃金・物価・金利のゆくえ』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
インフレもデフレも気分次第?経済学者「前日銀総裁・黒田東彦氏の<ピーターパンの喩え>は的を射ている。では国内で最初に『飛んだ』のは誰かというと…」
経済学者「今の<安いニッポン>に『賃上げと値上げの自粛』をダラダラ続ける理由はない」なぜ日本の賃金と物価は<30年>も据え置かれたのか
なぜ<最低賃金の引き上げ>が必要なのか?経済学者「先々の水準まで約束することはデフレ脱却にも有効。その理由は…」

インフレの時代-賃金・物価・金利のゆくえ』(著:渡辺努/中央公論新社)

世界で先行していた物価の高騰=インフレーションが、日本でも2022年春から始まった。

それまでの慢性デフレから一転したのはなぜか――。

物価研究の第一人者がその謎を解く。