母にもっと感謝し、愛すべきだ

母にもっと感謝し、愛すべきだ

ギリギリまで堪えていた涙が部屋を出た途端にぶわあああっと溢れてきた。廊下の床を見ながら、泣きながら早足で歩いた。頭がガンガンと痛かった。

私はなんて最低なんだ。なんでこんな時までうまく娘をできないんだ! オカンがこのまま死んじゃったらどうしよう。これが最後だったらどうしよう!

どうしてもっと優しくできないんだ、どうして素直に心配できないんだ、どうして今までごめんねって言えないんだ、どうして素直に育ててくれてありがとうって感謝できないんだ!! どうして!!!

ー母が、もっと強かったら。

父のギャンブル依存症がなければ。家が借金取りに追われるほど貧しくなければ。母が、その惨めな現実から逃げるために、宗教にすがる必要がなければ。母に自分の足で立つ力があれば。あののんびりとした雰囲気の父が、ギャンブルに狂わず、母を支えてさえいれば。

そんな「もしも」が叶っていたら、私は今ごろどんな表情で、どんな言葉で母を愛していたのだろうか。まっすぐに愛された私の人生は、どんなものだったのだろうか。

どうして私は父を憎まないんだろうといつも不思議に思う。本当に憎むべきは、家族を壊して、最後には無責任に消えた父のはずなのに。

今、私の長男が15歳になろうとしている。私の父がいなくなったのは、私が15歳の時だった。

もしも今、夫が消え、2人の子供を私一人で育てることになったら、一体どれほど心細く、辛いものになるのだろう。私は、彼らをちゃんと一人で育てることができるのだろうか。

そんなにまで弱かった母なのに、彼女は私たちを最後まで投げ出さなかった。

憎めるのは、そこに居続けてくれたからだ。

もっと感謝するべきだろう。もっと愛するべきだろう。