私のこと、怖いですか?

私は2013年9月4日、そんな美由紀と松江刑務所の面会室で初めて向かい合った。美由紀は、不審死した男6人のうち、2人を債務の返済を免れるために殺したとして立件され、前年12月に第一審・鳥取地裁の裁判員裁判で死刑判決を受けていた。一貫して冤罪を訴えていた美由紀は、これを不服として広島高裁松江支部に控訴しており、私は本人に事件の真相を聞いてみたいと思って取材に訪れたのだ。

その日、美由紀はグレーのトレーナーに、ジャージのハーフパンツという姿で面会室に現れた。報道の写真では、巨躯の怪人物のように見えた美由紀だが、実際は太ってはいるもの、身長が150センチもないほど小柄で、化粧をしていない素顔は地味だった。アクリル板越しに美由紀は、おどおどしながらこう問いかけてきた。

『実録 死刑囚26人の素顔』(著:片岡健/宝島社)

「私のこと、怖いですか? 私が人に暴力をふるうように見えますか?」

この問いかけは、美由紀が暴力的な人物だという報道があったことを意識してのものだと思った。私が率直に、「上田さんは、人に暴力をふるうようには見えませんね」と告げると、美由紀は得心したような笑みを浮かべ、こう言った。

「私のことを一度にすべては知ってもらえないと思いますが、一つ一つ知って欲しいです」

私はこうして美由紀と面会や文通を重ねるようになった。