印象的だったこと

取材を始めた当初に印象的だったのは、美由紀が人をよく褒めていたことだ。

たとえば、捜査段階と裁判員裁判の国選弁護人を務めた鳥取の弁護士たちについて、美由紀は「逮捕された時から何百回も面会に来てくれ、今も感謝しています」と言ったり、松江刑務所の刑務官たちについて、「収容者一人一人の話をしっかり聞いて対応してくれるんです」と言ったりした。

さらに美由紀は私のこともよく持ち上げた。私は最初に手紙で美由紀に取材を申し込んだ際、過去に雑誌に書いた事件関係の記事をコピーし、同封していたのだが、美由紀は手紙に「片岡さんの記事は何度読んでも、心にどっしりきます」と書いてきたり、面会中に「片岡さんと出会えて本当によかったです」と何度も口にしたりした。

ここまで過剰な褒め言葉は嘘くさくもあるが、褒められて悪い気はしないものだ。不審死した男性たちに対しても美由紀はこうやって心に入り込んだのだろうと思った。裁判では、美由紀は、交際相手の男・安東儀導(逮捕時46)と共謀して取り込み詐欺を繰り返したほか、2人の男性を殺害したと認定されていた。