境遇は自分と似ていて

「刑務所にいた私は、暇つぶしの相手が欲しかったんです。片岡さんが書いた浩二の記事を見て、『この人なら、返事がすぐ来そうだ』と思って手紙を出したんです」

その記事は、山田が1回目の控訴取り下げが無効とされ、裁判が再開すると決まった際に大阪拘置所で面会した時のことを書いたものだ。山田が面会中は終始笑顔だったことをありのまま書いた記事だったが、山田に女性との出会いをもたらしたわけだ。

『実録 死刑囚26人の素顔』(著:片岡健/宝島社)

山田から返事はすぐ届き、睦子さんは文通するように。当初は楽しかったという。

「浩二の手紙はテンションが高いんです。刑務官の悪口をよく書いてきましたが、『ナントカ抹消業者』『ナントカちんかす野郎』などと色々言葉を作るのが上手かった。暇なので、そういう手紙が面白かったんです」

では、文通からどのように結婚に発展したのか。

「浩二が2回目の控訴取り下げをして、今度こそ死刑が確定するという状況になった中、『俺には時間がない』と結婚を求めてきたんです。社会に相手にされず、人生の大半を刑務所で過ごした浩二の境遇は自分と似ていて、放っておけないと思ったんです」