なんだか今回は真面目な話になってしまいました。そういう気持になったのは、先日、友だちから「アガワって、どうしてそうなんでも引き受けちゃうわけ?」と言われたからである。私がまたもや演技の仕事にクビを突っ込んだことを知り、彼女はほとほと呆れたらしい。そうよねえ。私って、自信がないというわりにはなんでも引き受けるよねえ。お前の本業はなんだと聞かれたら、まあ、「もの書き中心、他さまざま」と答えるしかない。なぜ演技をしたり歌ったりピアノを弾いたり落書きのような絵を描いたり、司会をしたり小説を書いたりするのか。理由は一つ。

「アガワさん、一緒にやってみようよ。きっと楽しいぞ」

その言葉に私は弱い。えー、面白そう。もしかして期待されてる、私? 人様に期待されると、どこへでも行きたくなる。最初は「無理無理」と手を横に振りながら、気がつくと、引き受けているという有り様だ。

でも最近、少し考えが変わった。もう先はそう長くない。いくら超高齢時代とはいえ、ピンシャン動けるのはあと二十年、いやそれより短いかもしれない。だからこそ、残りの人生、面白そうだと思ったらなんでも始めてみればいい。たとえそれが一人前の域に達しなかったとしても、自分が楽しめて、ついでに人様を喜ばせることができるなら、それでじゅうぶんに幸せではないか。

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