(写真提供:Photo AC)
文化庁が公表した令和6年度「国語に関する世論調査」によると、「潮時」の意味について、辞書等で本来の意味とされてきた「ちょうどいい時期」と答えた割合は41.9%だったそう。時代の流れで日本語が変化していくなか、新聞や雑誌、書籍などあらゆる媒体の誤字脱字を拾い上げ、言葉の精度を極限まで高めているのが「校閲記者」たちです。そこで今回は、産経新聞からテレビ番組のテロップまで、多岐にわたる媒体の校閲を一手に担う産経編集センター校閲部の校閲記者が連載するコラムを書籍化した『いじわるな日本語 ~校閲の現場から~』より一部を抜粋し、日本語の奥深さをご紹介します。

すわ一大事!一丁目一番地で対処せよ! 

50年近く前に描かれたギャグマンガを読み直していたら、往年のヒーローたちが大事件に遭遇する場面になりました。一人のヒーローが「すわ一大事!」と叫ぶと、別のヒーローが「“すわ”は古いぞ“すわ”は」とたしなめていました。このマンガを初めて読んだのは小学生の時だったと記憶しているのですが、当然ながら「一大事」の前にある「すわ」の意味は分かりませんでした。

調べてみると、「すわ」は感動詞であり、驚いたときに発したり、人に注意を喚起したりするときに使う語のようです。ちなみに産経新聞のデータベースで「すわ一大事」を検索しても、数件しかヒットしませんでした。もはや若い世代には通じない死語の世界かもしれませんね。

「一丁目一番地」という言葉も、初めて見たときはいまひとつ意味がつかめませんでしたが、前後の文脈からなんとなく推測できました。政治関連の記事でよく使われます。こちらも若い世代に親しい言葉といえるかどうか……。

ところでこの「一丁目一番地」、辞書を3種類ほどめくってみましたが、出てきませんでした。ネットで調べたところ、どうやら1980年代に政治家が使いだしたという記述があり、驚きました。昔からの言い回しではなく、意外に新しい表現だったのですね。「最優先課題」といった意味ですが、死語というより業界用語のようなものなので、なじみが薄いのでしょうか。