戦前生まれで卒寿を目前にした「生けるレジェンド」毒蝮三太夫と、還暦を目前にした「時代遅れな昭和の粋芸人」玉袋筋太郎が、令和の社会の生きづらさ、お笑い、幸福論、老いなど、軽妙な掛け合いで語り合う。毒蝮の「毒」と、玉袋の「粋」が融合した対談本『愛し、愛され。』より、一部を抜粋して紹介します。
わけあってカミさんに逃げられた玉袋
毒蝮 俺と玉にはいくつかの共通点があるわけだけど、カミさんに関しては正反対だよな。『美しく枯れる。』にも書いてあったけど、最近カミさんに逃げられたんだって? (小指を立てながら)コレでもバレたか?
玉袋 いやいや、そういった問題がまったくないわけでもないんですが……。ぶっちゃけいえば、長年の不満というのか、積年の恨みがついに爆発したという感じです。
俺なりにカミさんも息子も大切にして、精一杯の愛情を注いできたつもりだったけれど、やっぱり、世間がいう「いい夫、いいお父さん」とはほど遠かったと自覚しているし、ずっと好き勝手に生きてきましたから。
毒蝮 どうせ、ずっと酒ばっかり呑んでたんだろ? カミさんに甘え過ぎて、大切にしていなかったのか?
玉袋 そうですね。師匠のおっしゃる通りです。完全に甘えてました。ある朝、目覚めたら、犬と鳥とカミさんがいなくなっていたんです。
毒蝮 完全に計画的犯行だな。結婚して長かったんだろ?
玉袋 俺が芸人として勢いが出てきた 25歳の頃に知り合ったから、もう30年以上のつきあいです。彼女からファンレターをもらって、そこから一緒に食事をするようになってつきあいはじめたんですけど、実は彼女は、自分が通っていた高校の先生と結婚したばかりで、しかも赤ちゃんを産んだばかりだったんです。
毒蝮 それでどうしたんだよ?