最古参・最年長として55年間レギュラー出演した番組『笑点』を、2024年3月に卒業した落語家・林家木久扇さん。怪我や大病を乗り越え、88歳の今も現役で高座に上がり、仕事にプライベートに大忙しの日々を送っています。今回はそんな林家木久扇さんの著書『88歳! 元気な秘訣、教えます 人生は夕方からが美しい』から一部を抜粋し、明るくたくましい言葉をお届けします。
100歳になったら売れると言われました
わたしは2025年に88歳になりました。米寿で現役の落語家なんて、過去を見たって、なかなかいるもんじゃあないと思います。
なぜこの年まで、元気で現役を続けられたのか、自分でもちょっとふり返ってみたくなりました。
実はわたしがまだ修業中のころ、古今亭志ん朝師匠からこんなことを言われたことがあるんです。
「木久ちゃんは生きる名人だね」
生きる名人……。もしかしたら楽屋で、気持ちよく落語をしてほしい一心でお茶出しやら何やら先を読んで動いているわたしを見て、おっしゃってくださったのかもしれません。
でも自分の人生を振り返ると、志ん朝師匠の言葉はもっと大きな意味を含んでいたんじゃないかとも思います。
88年の人生は決して順風満帆ではありませんでした。
小さいころは空襲で九死に一生を得たし、戦後は貧乏の中で苦労して家族を支えてきました。
大人になってからも大病で死にかけたこともあるし、事業で失敗して大損したこともあります。
でも、何とか乗りこえて今がある。たどりついた今は人生で一番穏やかで、幸せな時間が流れています。
なるほど、わたしは「生きる名人」かもしれません。