阿鼻叫喚の実態

調査票の自由記述欄には、中高年シングル女性たちの以下のような阿鼻叫喚の実態が切々と書き連ねられている。

「子どもが2歳のときから母子家庭。パートで30年働いてきました。年金暮らしですが、預金を取り崩して生活しています。預金がなくなったら、病気になったらどうしようと先が不安です」(70歳以上、離婚)

「公営住宅に応募する予定。あと1年半で定年。家賃を払って少ない年金で暮らしていく。長年低賃金だったので貯金もできませんでした。不安しかありません」(60代、非婚・未婚の母、正規職員)

「病気になった場合の医療費や働いているからこそ、維持できている家賃など、溜めのない生活です。非正規労働者として25年間働いている結果なのでしょうか? 自己責任を問われても……、違うと思います」(60代、別居、非正規職員)

「生活保護に至らなくても住まいさえあればなんとかなる場合が多い。生活保護の名称を生活保障にして、生活保護を分解して個別に必要な支援が受けられるような仕組みを考えてほしい」(70歳以上、死別)

「22年間正規で働いて厚生年金を支払ってきたが、その後非正規職になり、年金が月10万円弱。生活費を確保するため、70歳を過ぎた今も非正規職で働いている。病気などで仕事ができなくなると、生活保護と思っている。非正規で働いている人は、年金もまともに受給できないという今の制度は改めるべき」(70歳以上、独身、非正規職員)

「40年間年金を支払っても月額6万5000円程。40年支払っていないと月5万円あまり。特に賃貸住宅に住んでいると、いくら安くても住居費と水道光熱費で月5〜6万円は消えてしまうので、食費や医療費などは全然足りない」(70歳以上、非婚・未婚の母、非正規職員)

「家賃の負担が非常に大きい。失職、年金生活になった場合に現在の家賃が払えない。家賃の安い部屋に引っ越そうとしても、単身高齢女性は容易に部屋を借りることができない」(50代、独身、正規職員)

「収入が減ったときに、家賃が払えるかどうかが将来の不安の中で一番大きな割合を占めている。住居がなければ何もできない。単身者への住宅支援をしてほしい」(40代、独身、非正規職員)

「都営住宅(公営住宅)は障害者やシングルマザーが優先で単身女性は優先されないので、解決策が欲しい」(40代、独身、非正規職員)

「住んでいる部屋が賃貸で、母親に保証人を頼んでいます。父親は亡くなっており、自分のきょうだいとは折り合いが悪く、母が亡くなったあと保証人を頼める人がいません。数週間前に部屋の更新をしたばかりですが、2年後の更新時には高齢の母が亡くなっている可能性もあります。貯蓄もなく、今後どうしたらよいか困っています。同じような境遇の人はたくさんいると思いますが、救済措置を講じて欲しいです」(50代、離婚、非正規職員)

※本稿は、『単身高齢者のリアル ――老後ひとりの住宅問題』(筑摩書房)の一部を再編集したものです。

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単身高齢者のリアル ――老後ひとりの住宅問題』(著:葛西リサ/筑摩書房)

貯蓄があっても賃貸に入居できない? 持ち家でも安泰とは言えない?

老後ひとりの「最期の居場所」をみつけるのは、こんなにも難しい。

孤独死予備軍が急増する今、単身高齢者の住まいを保障する社会の仕組みを考える。