アルファー読みは基本的な読み方

時がたって、ミノだとかマスというものを見たこともない子どもがふえてくると、アルファー読みの教材として不適当になる。

そこで当時の国定教科書が改訂された。新しい教科書の、最初の文章は、サイタ、サイタ、サクラガ サイタになった。これならすべての子どもが、アルファー読みができる。

『乱読・乱談のセレンディピティ』(著:外山滋比古/扶桑社)

アルファー読みは基本的な読み方ではあるが、これだけではモノが読めるようになったとは言えない。読むものの知らないことが書いてあると、とたんにお手上げになる。どうしてもベーター読みができるようにならないといけない。その読みを教えることが至難で、これまで、どこの国でも成功しているところはないと言ってよい。

日本の学校は早々と、ベーター読みをあきらめた。その代わりに、アルファー読みでも、ベーター読みでもわかる、物語、文学作品を読ませた。フィクションは未知の世界のことを描いているが、日常的な書き方がしてあるから、アルファー読みでもいくらかはわかる。つまり、物語や文学作品は、アルファー読みからベーター読みへ移る橋がかりのような役を果たして便利なのである。