乱談のストレス解消
年をとってからの乱談には、若いときにないよさがある。
気が若返るのだ。年を忘れる。おのずと元気もでる。
少し気分が重いと思っても、おしゃべり会に出て、話していると気がしゃんとしてくる。夢中になって話していると、いつしか、気分のよくなかったことも忘れて、別人のようになり、足どりもかるく帰宅する。まだまだ、やれるという自信がわいてくる。
老人を悩ます姿なき敵はストレスである。現代医学はまだストレスが充分によくわかっていないようで、ストレス性の疾患には手が出ないらしい。老年でなくても苦しめられる腰痛なども大半はストレス性であるというから、治療の手がない。糖尿病にもストレス性のがふえているという。
老化もストレス性が少なくない。クスリも治療法もないが、乱談のストレス解消力は老化をおさえるアンチ・エイジングのもっとも有効な方法であるように思われる。
乱談の活力は老衰をおさえるばかりでない。若いときになかった頭のはたらきを促進する、若返る、などと考えるのは古い。うまくすれば高齢者は、若いときになかった知力、気力、精神力をのばして、若いときとは違った活力に満ちた生き方をすることができる。そういう高齢者がふえれば、高齢化を怖れることもない。
社会福祉としても、おしゃべり、乱談による精神の活性化はもっともおもしろい方策であるように思われる。
※本稿は、『乱読・乱談のセレンディピティ』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
『乱読・乱談のセレンディピティ』(著:外山滋比古/扶桑社)
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