英文学のみならず、思考、日本語論などさまざまな分野で活躍されてきた、評論家、エッセイストの外山滋比古さん。著書には、およそ40年にわたりベストセラーとして読み継がれている『新版 思考の整理学』などがあり、2020年7月30日に96歳で逝去されました。そこで今回は、外山さんの著書『乱読・乱談のセレンディピティ』から一部を抜粋し、外山さんの「思いがけないことを発見するための読書術」をお届けします。
乱読の入門テキスト
乱読の手はじめは、新聞、雑誌である。雑誌も専門誌ではなく、総合雑誌がいい。もっとも総合をうたっていても、その実は文科的色彩がつよく、教養をつけるために発行しているのではないかと思われるほどである。
新聞は雑誌より雑然としているだけ乱読入門には適している。
近年、新聞がニュースの速報性について首座を電波にあけわたしてから、その分新聞の文化性は高まった。読者として、この変化を見落としてはいけない。スポーツ欄しか見ない、経済関係しか興味がない、政治的ゴシップばかり追っているというのは、半読者である。
知的な読者は、すべてのページに目を通して、おもしろいことがあれば目をとめる。このごろは、ページ数がふえたから、読むのはたいへんだ、読めないと頭からきめている人がいるが、半分は広告だから大したことはない。