アンコール・ワット
カンボジアの国旗にも描かれているアンコール・ワット。建設当時は黄金色だった(撮影:富井義夫)
133の国と地域を旅して、625ヵ所もの世界遺産を訪れている写真家・富井義夫さん。40年以上にわたって世界中を巡ってきた富井さんによる、『婦人公論』での新連載「世界遺産を旅する」。第13回は、「アンコール・ワット」をご紹介します

宗教観が伝わる幽玄な世界

カンボジア

 

今回ご紹介するのは、カンボジアにあるアンコールです。クメール王国が築いた遺跡群で、寺院として建設された「アンコール・ワット」や巨大な観世音菩薩がある「アンコール・トム」などが含まれます。

9〜14世紀に作られた遺跡群は、1992年に世界遺産登録を果たしました。近隣諸国に多大な影響を与えたクメール美術の傑作であることや、中国のほかインドとも交易をしていた歴史的・文化的価値の高さなどが評価されています。

寺院の壁にすき間なく施されているのは、神々の栄光や戦いの様子、輪廻転生などを描いた浮彫り。ヒンドゥー教と仏教の信仰から生まれた、カンボジア特有の宗教美術の共存が見られます。ガジュマルの根が絡みつく遺跡は、膨大な時間の流れが感じられ、私はここがアジアで一番の遺産だと思うのです。