がん治療の目的は、がん細胞をなくすことである。なので、がんを治すために手術をしましょう、とか、放射線治療をしましょう、という言い方がされる。
がん細胞を完全になくすことができれば、晴れて「治った」と言うことができる。しかし、どのような治療法であっても、完全にがん細胞がなくなったと証明することは極めて困難である。
がんはもともと1個の細胞が増殖したものであることを思い出してほしい。なので、可能性としては、たった1個のがん細胞から再発することがありえるのだ。
MRIやCTといった画像診断で見えなくなったとしても、それでは調べきれない「微小残存病変」(画像検査では見えないほど小さいがん病巣)が残っている可能性を否定できない。それが元になり、何年か後になって再発する危険性がある。なので、完全に「治った」とはなかなか言いにくい。
そのかわりに「寛解」という言葉が使われることがある。広辞苑を見ると「病気そのものは完全に治癒していないが、症状が一時的あるいは永続的に軽減または消失すること。特に白血病などの場合に用いる」と書かれている。
「完全に治癒」していないのに、「症状が永続的に消失」することもあるというのは、ちょっとおかしいんとちゃうんか! と言いたくならない訳でもないが、そこは我慢しておこう。これは、がんという病気の性質上、いたしかたないのである。
