母の顔色がさっと変わって

施設の方と相談をして、嫌がる母を連れて病院に連れて行くと、レビー小体型認知症と診断されました。診察を終えた後、母は、病院に置いてあった認知症のパンフレットを手にとって、「この病気だと思われているんだよね?」と私に尋ねました。

私はてっきり、母が治療に納得してくれたのかなと思って、「そうだよ」と言ったら、母の顔色がさっと変わったんです。「味方だと思ったのが違った」と判断したようで、そこから一切、私の存在は消されてしまった。今思うと、母は自分が認知症だとは思っていないし、思いたくもなかったのでしょう。対応を間違えてしまったんです。

私には妹がいますが、それ以降、母の中では「娘は妹1人だけ」という理解になりました。意地悪ではなく、完全に私の存在がなかったことになってしまったんです。どんなに声をかけても私の言葉は通じない。会ってもよそよそしいし、第三者に「禎子という子はいない」と説明する。認知症の診断を受けた母の気持ちを考えて、自分が何を伝えるのかももっと熟慮するべきでした。母に対してもっと尊敬と感謝の思いを持って対応していたら違ったのではないかと反省しています。ただ、正解は今もわかりません。

母は薬を飲むのを嫌がり、認知症の治療が進まないまま2020年、コロナ禍で肺炎になって救急車で運ばれました。東京から急いで病院にかけつけ、防護服を着用して、集中治療室に入り、病院に頼んで寝泊まりして看病しましたが、退院はかなわず、看取ることになりました。