たとえば準備運動の一つ、下肢のストレッチ。(1) 椅子に座って片脚を前に伸ばし、(2) かかとを床につけ、爪先を天井に向けて、(3) 上半身をゆっくり倒していく。ももの裏がじんわりと伸びるにつれ、普段はここが硬くなっていることが嫌でも実感できる。

続く足首回しでは、健康運動指導士の門田公子さんが参加者それぞれの動きを見ながら、「足首だけを回してますか? 足全体をぐるぐる回しても、足首は全然回っていませんよ」と声をかける様子が印象に残った。

終了後にお話を聞いたところ、「基本から細かくチェックができるのも、こうした教室の良さだと思います。体操はテレビや動画でも見られますが、姿勢などが間違っていると効果が出にくかったり、かえって足腰を痛めてしまうリスクもありますから」と門田さん。

たとえば私たちが子どもの頃に定番だったうさぎ跳びが「膝や股関節に負荷がかかる」と、現在は全面的に禁止されているように、運動の常識は日々変化している。

「高齢者の健康維持に役立つストレッチや運動についても研究が進み、簡単にできて、効果の高いものがわかってきました」。そうした観点からも、自己流ではなく、教室やスポーツジムで専門家の指導を受ける意味があるのだろう。

体力測定に続いて行われた体操で意外に思ったのは、たとえば (1) 椅子に浅く腰かけて、(2) 両腕を曲げて胸を張り、(3) 胸を張ったまま腕を伸ばす。続いて、(4) 腕を肩の高さに上げ、(5) 腕が体の脇を通るように後ろに引く運動といった、上半身のトレーニングが多かったことだ。

「高齢者が転倒しやすいのは、猫背や前屈みなど、姿勢の悪さが影響していることが多いのです。ためしにまっすぐ立った時と、前屈みになった時で、足の持ち上がり方を比べてみてください。前屈みのほうが、足が上がりにくいのが実感できると思います」

そのため上半身を含めた全身運動で、筋力とバランス力を高めているのだという。