販売スタッフガチャ

情報を集めるためには、やはり足だ。実物をこの目で確かめて、その筋に詳しい人間から聞き出すしかない。念の為、私の肩書きに刑事は含まれていない。

結果的に仕事の合間を縫って、5軒ほど家電量販店を回った。入店すると私の購入欲に殺気を感じるのか、どの店舗でも販売スタッフがなかなか近づいてこない。

(……めんどくさそうなおばさん、って思われているのかな……)

今回の連載はどうも独り言が多い。仕方がないので、カウンターで「テレビを購入したいんですが……」と、おばさんイメージを払拭すべく、あえて静かな雰囲気を醸し出して尋ねてみる。すると“販売スタッフガチャ”が始まり、私にマッチングすると思われたスタッフの説明が始まる。

「お客さま、地上波と配信どちらを見られる確率が高いですか? ああ、配信? ですとねえ、やっぱり韓国製、中国製が向いているかもしれません。日本製ももちろんいいんですが、やっぱり、ほら、お値段がね(笑)。日本の会社は審査基準が厳しいので、なかなか値段も下がらないんですよ。それならばと、中国で日本の部品を使って作られたテレビもあるんですよ。そうすると、視聴時間が短くなることで目の疲労を軽減してくれると言われている倍速機能。これが安く手に入って……」

一気に、そしてやや上から目線で捲し立ててくるスタッフ。どうにも視線が合わせられない。(どうもこの人が苦手だ……。この場を去って、別の店に行くか?)と、脳内で押し問答を繰り返してしまったので、5軒も回る羽目になった。加えて最近、テレビを売り出し始めた「ニトリ」でも説明を聞き、インターネットでも調べた。おかげで現在は販売スタッフになれそうなほど、テレビとレコーダーに詳しい。

「そんなに迷っているなら、安いんだし、アマゾンで買えばいいじゃん」

イメージ(写真提供:Photo AC)

友人の勧めに心が揺らぐ。ただ通販で買ってしまうと、設置を自分でやらなければならない。私は稀代の不器用で組み立て家具はもちろん、ボタンつけさえできないので、テレビとレコーダーを設置するのは、明日から中国雑技団に加入しろと言われているようなもの。

結果、人柄の良さそうな販売スタッフと巡りあい、テレビのリサイクル、設置、消費税込みで155000円まで値下げ交渉に成功した。