『ガンダム』を見ないままSF作家になった


そして。私が子供だった頃、昭和四十年代の、おじいちゃんおばあちゃんは、普段、まずTVのスイッチなんかいれません。おじいちゃんとおばあちゃんがTVをつけるのは、家族がみんなで茶の間にいる、御飯を食べている時だけ。あの頃、うちで、TVがついているのは、こういう時間帯以降だけでした。七時か八時に夕飯で、その時TVがついて、その後はつけっぱなしだったのね。で、御飯を食べ終わった後、何となくTVを見ていると、おじいちゃんおばあちゃんの選択は時代劇。(両親のうちどっちかが帰ってくるのが、ほぼ十時台でしたから、御飯の後、そのくらいまではうちのTV、つけっぱなし。)
こんな私でしたから。


中学生になった頃、同級生が、当時アイドルであった歌手の話をした時……完璧に私は、それが誰だか判りませんでした。というか、聞いたことがない名前でした。
これ、今なら“苛め”に発展してしまうこともあるような気もしますが、当時はそこまで殺伐としてはいませんでしたので、「えー、もとちゃん、本当に判んないの、誰々だよ?」「……ごめん。知らない」で、話が終わりました。


私が、一応SF作家であるにもかかわらず、子供時代にアニメをほぼ見たことがないのは、この生育環境故だと思います。当時のおじいちゃんおばあちゃんには、アニメを見るという文化はなかった。変な言い方になるんですが、私の年代(1960年生まれ)で、SFが好きで、にもかかわらず、『ヤマト』も『ガンダム』も子供の頃まったく見ていない人間って、あんまりいないような気がします。(ほんとにまったく見ていなかったので……こりゃもう、どうしたものなんだか。)でも……これ……別に私、何か理由があって見ていない訳ではなくて……「そういうSFをTVでやっている」ということを、まったく知らなかっただけなんです。だから、見なかった。うん、多分、ほんとに、私にはTVを見るっていう文化がなかったんだろうと思います。