映えるパンケーキ

友人とカフェに行った時のこと。
メニューを見て、私の指は迷わず「スペシャルタワーパンケーキ」を差していた。だって一番、映えそうだったから。

運ばれてきたのはパンケーキというより、ほぼ生クリームの白い巨塔。

「わあ、最高……!」

感嘆の声は美味しさへの期待ではなく「これは映えそう」に対する安堵だ。実は私は生クリームがそれほど得意ではない。たくさん食べるとすぐ胸焼けしてしまうことを自分が一番よく分かっている。

それでも私は皿を回し、そびえ立つクリームの立体感が一番際立つ角度を探し、シャッターを切る。この2200円という金額は食事代ではない。私のSNS劇場を維持するための料金だ。

撮影を済ませてようやく一口目を運ぶときには、タワーはもう崩れ始めていた。口に広がるのは多幸感ではなく、脂っぽさと重たさだった。

その横で友人は何の変哲もない厚切りトーストを食べている。トーストは茶色であまりにも地味だ。

けれど、そこからは小麦の香ばしい匂いが立ち上り、バターが黄金色に溶け出している。……めっちゃ美味しそうじゃん。

彼女はスマホに触れることすらしない。湯気が立っているうちにパンをちぎり「ふわっふわでもっちりしてて最高」と言いながら、心底幸せそうに頬張っている。

一方で私は、もう食べたくもないクリームを必死に口に運んでいる。悲しい。心が満たされないもののせいで太るなんて許せない。意地でも、絶対にカロリーを見ないんだから!