自己を確立することにこだわらない

若いころというのは、自己を確立しなければならないという焦りがあるため、どうしても他者を否定することで自分の立場を守ろうとします。

長老の段階に至ると、もはや自己を確立することにこだわる必要がなくなります。自分に固執することが無意味に思えてきます。すると自然に、他者を否定する理由も消えていくのです。

『長老力 老害と呼ばれない人になる!』(著:齋藤孝/山と溪谷社)

年齢を重ねてもなお他者を否定しつづけるのは、大人げない。つまり、長老としてふさわしくない態度だといえるでしょう。

若さが持つ力に巻きこまれる練習を重ねることで、長老力は磨かれていくのではないでしょうか。

そのプロセスは、若い人と適切な距離感を保ちながら、「いまはこんな音楽や漫画が流行っているのか」「自分もちょっと聴いてみようか」と、若い人の趣味や関心にいちおう触れてみること。ちょうど流れるプールに身を浮かべるようなものです。これが「若さに巻きこまれる力」のイメージです。

最初は「いまどきの音楽や漫画は受けつけない」と感じる方もいるでしょう。

けれども、慣れてくると「これは面白い」と思える作品に必ず出会えます。そこから若い世代と共通の入り口が開かれていくのです。