試験中、無意識に…
そして、ウルトラマン並みの集中力以上に大変だったのは、学科試験です。
「国家試験」という言葉の圧力はなかなかのものです。
字を見るだけで緊張します。
会場には老若男女さまざまな方が集まっていました。
仕事のために受験する方もいれば、資格取得を目指して勉強してきた方もいるのでしょう。
その姿を見ながら私は思いました。
皆さん、本当に偉いなぁ。
大人になってから勉強を続けるというのは、決して簡単なことではありません。
勝手に周囲をリスペクトしては、さらに緊張を高めていました。
試験はパソコンで解答し、最後のクリックで合否が表示される仕組みでした。
私は緊張で肩に力が入りっぱなしです。
読解力に自信のない私は、問題文を何度も読み返しました。
集中、集中。
すると突然、試験官の方が近づいてきました。
「声を出さないでください」
え?
私ですか?
どうやら私は問題を読みながら、無意識に音読していたらしいのです。
しかも私の声は、人よりも少し大きいのです。
舞台人の職業病とも言えますが、この場ではただの迷惑です。
慌てて謝り、再び問題に向かいました。
ところが、
「ぶつぶつ……」
あ。
また思いきり声に出していました。
年齢を重ねると独り言が増えるといいますが、これが噂に聞く、おばさん現象というものなのでしょうか。
ものすごく恥ずかしい。
でも今は恥ずかしがっている場合ではありません。
国家試験です。
残り時間は待ってくれません。
私は心の中で自分に言い聞かせました。
「集中しなさい。おばさん現象の分析はあとでいい」
そして試験終了。
運命のクリックです。
ポンと画面に表示された文字を見た瞬間、私は思わず声を上げました。
「合格」
え?
え?
ええええええっ!!!
静まり返った試験会場に、またしても私の声が響いてしまいました。
「合格」の文字を見た瞬間、それまでの日々が一気によみがえりました。
初めましての専門用語の嵐。
脳が拒否反応を起こしそうになる法律や規則。
難解な日本語を必死に読み解き、理解し、書き、ぶつぶつぶつぶつと声に出して覚えた日々。
台詞を覚えるように、何度も何度も繰り返して頭に叩き込みました。
そしてその先に待っていたのは、やりとげた達成感、というよりもまず試験勉強からの解放感でした。
「あぁ、もうカテゴリーI・カテゴリーII飛行を覚えなくていい」
