「病気」は人によって様々。「老化」は万人に起こる
高齢化社会において、抗老化研究で重要になるのが細胞のエネルギー源である物質「NAD+」を増やすことです。NAD+は加齢とともに減少し、その低下により各臓器の老化に関与しています。
NAD+の合成に関わっているのが、抗老化物質として世界的にも最有力候補とされている「NMN」。プロダクティブ・エイジング研究機構・理事の今井眞一郎先生は、サーチュインの老化・寿命制御における重要性や、抗老化物質「NMN」の機能発見などを、ワシントン大学から数々の論文を発表している老化・寿命研究の第一人者です。
「近年、老化寿命研究の世界的な潮流では、“老化は病気である”と理論づけ、治療対象として、老化細胞の除去や細胞のリプロダクトなどさまざまに老化研究が進んでいます」と今井先生は説明します。
しかし、老化現象はすべての人に等しく起こります。また、全員が同じ病気を発症しないことや、老化は元に戻すことはできない、ましてや70代を20代に再生することは不可能です。その観点からも、老化を病気として扱うのは適切ではなく、「全身の機能が衰えていく生理的現象」として捉えるべき、との見解を示します。
令和5年度の国民医療費の概況(厚生労働省)によると、国民医療費の総計は48兆915億円で、前年比+1兆3948億円。65歳以上が6割を占めています。この事からも、もし、「老化は病気で、治療対象になる」という未来が来れば、医療費は破綻してしまいます。
「超高齢社会を迎えた日本において大切なことは、老化に伴う疾病の予防をすることです。それが人生を楽しみ、社会的貢献を可能にする老後をプロダクトすることにつながる」(今井先生)。そのためにも老化を遅らせるための研究を推進することが重要であり、今回の発表の意義となります。