92歳になった今も創作活動を続けている人形作家の粟辻早重さん(撮影:村山玄子)
人形作家の粟辻早重さんは、92歳になった今も創作活動を続けながら、ひとり暮らしをしています。歳を重ねながら充実した日々を送る、それまでの道のりとは――(構成:篠藤ゆり 撮影:村山玄子)

展覧会のためにスケッチするのが楽しい

今住んでいるこの家は、テキスタイルデザイナーだった夫(故・粟辻博さん)と1971年に建てたものです。建築家・東孝光氏が手掛けた3階建ての一軒家で、家族団らんの場でもあり、夫婦の創作の場でもあったため、かけがえのない思い出が詰まっています。

子どもたちが独立し、95年に夫に先立たれてから、ひとり暮らし。おひとり様歴は30年を超えました。

92歳になった今も、なるべく自力で生活するようにしていますし、何か楽しいことを見つけながら生きていきたいと思っています。

朝は7時くらいに起きて、朝食を取り、テレビを見て猫を撫でたり、庭の植物に水やりをしたりしながらゆっくり過ごします。植物には癒やされますね。春にはチューリップがいっぱい咲くんですよ。

お昼を食べたら、絵を描くのが最近の習慣です。以前は、人形作家として女性をモチーフにしたふくよかな体形が特徴の人形をよく作りましたが、今はもっぱら男性の顔のスケッチをする日々。目標点数である80人を達成したら、展覧会を開く予定で描きためています。

人の顔を描くのは楽しいですよ。人相見じゃないけれど、その人から奥深い何かが見えると描きたくなるんでしょうね。特徴を生かしながらデッサンします。

テレビを見て、タレントであろうとオリンピック選手であろうと、「あっ、この人を描きたいな」と思ったら、携帯で写真をパチリ。だから、携帯を落としたら大変! 中のアルバムには男の人の顔ばかりあるから恥ずかしいでしょ。