その頃はちょうど東京オリンピックが開催間近で、海外からどんどん新しいデザインが入ってきた時期でもありましたから、もっと視野を広げなければと、半年間、夫と欧米へデザインの視察旅行に出かけることに。

当時は、大企業がいわゆるパトロンのような形で若いデザイナーを支援してくれたので、十分な資金が得られたのです。

ところが出発の3日前に、妊娠していることがわかった。でも、こんな機会は二度とないと、行くことに決めました。

ドイツやイタリアのミラノ、ローマなどを訪れ、今でいうホームステイのような感じで、民家の一室を借りて寝泊まりする日々。旅を続ける間に、お腹がどんどん大きくなっていきました(笑)。それでも、異国で生活することで、暮らしの中のデザインを体感できたことは大きな収穫でしたね。

そんな私とは反対に、夫は日本のテキスタイルデザインが遅れているという事実を目の当たりにして打ちのめされ、胃痙攣を起こしていましたけど。でも、こうした刺激を受けたことで、海外視察の経験は帰国後の仕事に大いに役立ちました。

 

後編につづく

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