初めて参加したときのことは忘れられない。馬上は思いのほか高く…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは京都府の70代の方からのお便り。61歳の時、以前から興味のあった乗馬に挑戦してみようと、思い切って乗馬クラブに入会したそうですが――。
乗馬クラブに通って12年
私は61歳で乗馬を始めた。新聞の読者投稿欄を読んだのがきっかけだ。投稿者である70歳の主婦は、定年後に夫が病に倒れ、介護を始めて気づけば10年になったという。気力・体力がある60代はやりたいことに挑戦できる歳だから、大切にしてほしい、と人生の後輩へのエールで締めくくられていた。
いたく納得した私は、以前から興味のあった乗馬に挑戦してみようと、乗馬クラブへの入会を一大決心したのだ。
初めて参加したときのことは忘れられない。馬上は思いのほか高く、4本脚の馬が歩き出すと前後左右にグラグラ揺れる。私の体は力が入ってカチカチになった。
そんな様子を見たコーチが、「乗ったまま敷地内の満開の桜を見に行きましょう」と提案してくれた。初参加の私に少しでも楽しんでもらいたいと、気を使ってくれたのだろう。私は桜につられ瞳を輝かせたものの、すぐに困難に直面した。
向かう際に通る、下りのスロープだ。上体を支えようにも、自転車のハンドルと比べたら、手綱はただの紐。馬の背がどんどん斜めになる。たまらず馬の首にしがみついて、クラブ一おとなしいという老馬の耳元で悲鳴をあげてしまい、コーチを慌てさせ、周りにいた会員には呆れられた。