そうした症状が出る前は、とくに体に異常はありませんでした。40代で健康診断を受けた際には「いい心臓ですね」と褒められて。4歳の頃からクラシックバレエを習っていたし、デビューしてからは歌や踊りに打ち込んできたぶん、心肺機能にはちょっと自信がありました。
毎年きちんと検診も受けており、どこも問題はなかったんです。だから、まさに青天の霹靂。
退院してから本などを読み、病気の全貌がだいぶわかりました。心房細動は、心臓の左心房にある肺静脈という血管のあたりから電気信号がランダムに生じ、心房全体が細かく震えて起こる症状だそうです。
心房細動が起こると心臓のポンプ機能が弱まるため、全身へ十分に血液が送れなくなります。そのため血液の流れが滞って呼吸が苦しくなったり、脳梗塞を起こしやすくなったりする。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、心臓弁膜症といった心臓の病気がある人は起こりやすいそうですが、健康な人でも、お酒の飲みすぎやストレス、睡眠不足などによって発生しやすくなるともいわれています。加齢も大きな原因で、60歳を過ぎると心房細動を起こす人が増えるとか。
私は「睡眠は何より大事」と思ってしっかり寝ていたし、食事も1日3食、ほぼ同じ時間に食べるなど、規則正しい生活を心がけていました。ジムに通い、早歩きウォーキングなど、運動もそれなりにしていたつもりです。
思い当たることといえば、加齢とストレスでしょうか。若い頃から責任感が強く、自分を追い込むようなところがあったんです。義父と母の介護も一人で抱え込み、見送るまでの日々は壮絶でした。相当、無理をしていたのでしょう。
鍼治療に行って、「まるで誰かから殴られることを常に警戒しているような、ガチガチの体になっています」と言われたことも。心と体の緊張感が抜けないんですね。
19年には足を骨折し、車いすでステージに出たり、インフルエンザA型・B型に同時にかかり、歌の仕事があるのに咳がなかなか治まらず、「みなさんに迷惑をかけてしまう」と、自分を責めたりもしました。
そして20年、コロナのパンデミック。死に至ることもある病気ですし、仕事がなくなると収入も途絶える。それがまたストレスとなり、結果的に心臓へ負担がかかった可能性もあります。
それと私の場合、母が心筋梗塞を患っているため、もしかしたら遺伝的なことも多少はあるのかもしれないですね。