バラエティパックにした生理用品があるといい

スー 今の若い世代は男女ともに理解が早いと思います。私の体感では、95年生まれくらいから全然違う。ただ、情報がないだけなんですよ。私はラジオ番組で30歳前後の男性とも仕事をしますが、番組で生理について扱ったとき、男性スタッフが本当に何も知らなくてビックリしました。「生理って1週間ずっと同じ量の血が出る」と思っていて……。

酒井 水道みたいにね。(笑)

スー 「痛いんでしょ」とか「機嫌が悪くなるんでしょ」というのは知っている。でもその理由は深く知らない。だから腫れ物扱いになるんですね。理解しないで怖がって、ノウハウだけでやり過ごそうとしていたら、相手を自分と同等の存在として扱えるはずがないじゃないですか。この情報のなさはまずいと思ったんです。

すんみ そうですね。

スー そこで生理用品を並べて手に取ってもらって、生理の仕組みなどを話したんです。そうしたら面白いことに、「なるほど。1週間でそんなに経血量に差があるなら、少ない日用から多い日用までをバラエティパックにした生理用品があるといいですね」って案が出てきて。

酒井・すんみ それ、いいですね!

スー やっぱり、隠さないで異性とも話すべきだなって。おばあちゃま世代のリスナーからは「男性の前で生理の話などしないで。はしたない」という声も届きましたが、「よくぞ言ってくれた」という方もいて。ただツイッターでは、「女は俺を無視するくせに、俺に生理のことを理解しろと言う。ふざけるな」という声もありました。これって、江南駅の事件と構造は同じですよね。

すんみ 本当にそのとおりですね。

スー ラジオの世界もまだまだ男性社会。こういうテーマが話せるようになっただけでも時代は変わったなと思う一方、昔からのきしみも確実に残っていると感じました。

酒井 それは子どもの頃からの接し方次第ですよね。例えば「生理はこういうもの」と男の子も幼いうちから知らされていたら、自然と視点が変わってくるのかも。でも、気を抜くと流れは戻る。だから動き続けなくてはいけないな、と思いますね。

ーーー

ジェーン・スーさんは『82年生まれ、キム・ジヨン』のこのエピソードに注目した!
 
大学3年の冬休みに就職活動を始めたキム・ジヨンは、友人からある先輩女性の話を聞く。すべての面で優秀だった先輩だが、入りたかった企業の学科推薦枠に4人の男子学生が推薦されたことを知った。納得できず、教授たちに説明を求めると、「男子学生はこれから一つの家庭の家長になるんだから」など、理解に苦しむ説明を受ける。絶望的だったのは学科長の言葉。「女があんまり賢いと会社で持て余すんだよ。今だってそうですよ。あなたがどれだけ、私たちを困らせてるか」。先輩は争っても無意味だと思い、抗議をやめた。

ーーー