たわいもない会話の大切さ

とはいえ、ママたちふたりは、常連さんと同席する彼らといつものように話をするだけ。成仏したのかどうかも、定かではありません。

これもコロナの頃に感じたのですが、特別に話し合いたいことがあるわけでもないけど、とにかく誰かと言葉を交わしたい、なんて時がありますよね。「今日も暑かった」「あそこに猫がいたよ」みたいな、たわいもない会話のできる相手がいること。それによって、心のモヤモヤが消えて、何となく気が済んでしまったりする。それもある種の、成仏じゃないかって。

子どもが独立して、配偶者は亡くなったり、話せなくなったり、あるいは話したくもなかったり(笑)。そんな年頃の人たちが顔を合わせ、おしゃべりで心を緩める場としてのスナック。

考えてみれば私も、転倒予防のために通い始めたスポーツジムで、よく顔を合わせる人たちに「こんにちは」と声をかけ、帰りがけに「さよなら」と言うだけで、何だかすごくほっとしています。

スナックもスポーツジムも、お金を払って利用する場だから、嫌になったら後腐れなく別のところへ移ることができますし。その自由気ままさも、自分のような人づきあいが得意じゃない人間には心地いいのかもしれません。

どうぞ「スナックふたり」の重たい扉を開けて、お店をのぞいてみてください。そして自分も常連になった気持ちで、街のうわさばなしに耳を傾け、時にはこの世とあの世をつなぐ不思議な出来事に驚きながら、楽しんで読み進めていただけたらと願っています。

 

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