お笑いコンビ「空気階段」鈴木もぐらさん。初めての単書、食に関するエッセイ本『没頭飯』は、小さい頃の思い出、部活、下積み時代…食を通じて人生を振り返る内容となったと語ります。《貧乏な母子家庭》で育ったという鈴木さん。母親の「食」に対するこだわりが強かったそうで――。(構成:野本由起)
飯を語ることは、己を語ること
お笑いコンビ「空気階段」として活動する私が、食にまつわる初エッセイを出しました。以前、ラジオ番組の企画で強制的にダイエットをさせられた時、「終わったら絶対これを食う!」というリストを作っていたんです。
実際に終わった瞬間から、リストにあったラーメンや牛丼を食べまくり、その様子をSNSに投稿したところ、食に関する連載の話をいただいて。それが一冊の本になりました。
高校時代、部活帰りに必ず買っていた唐揚げのり弁の味、売れていない時に芸人仲間と昼から飲んだ酒の苦み、私なりの卵かけご飯の食べ方。とりとめのない話のようで、結果的に食を通して人生を振り返る内容に。なかでも印象深いのが、家族との思い出です。
私が育った環境をひと言で表すなら、《貧乏な母子家庭》でしょうか。7歳の頃に両親が離婚し、その後、母が再婚してまた離婚。千葉県の片田舎にある市営団地で暮らし、高校の学費は自分で稼いでいました。
ただ、最近になって両親ともに祖父母の代まではそれなりに裕福だったことがわかって。どうやらボンボンと箱入り娘が結婚して、財産を食いつぶしたんじゃないか、と。そう考えると、腑に落ちることがたくさんあるんです。
母はマナーにうるさくて、食事の時は必ず正座。音を立ててスープを飲もうものなら、ゲンコツが飛んできました。得意料理はロールキャベツ。トマトベースで必ずローリエが入っていた。ぼっとん便所の家で「ローリエを入れなきゃ」なんて笑っちゃうけど、母の育ちを考えると納得できます。
