すごい大役をいただいたな

――柳川文役を演じられていかがでしたか?

文が元・女郎であり直美のお母さんであるということ、具合が悪くなった文を看護するなかで直美に新たな決意や気持ちが生まれるということを最初に聞いていたので「これはすごい大役をいただいたな」と思いました。

このドラマは必死で生きる人たちがバトンを渡して進む物語。文としてきちんとバトンを渡す役割を果たしたいという思いで演じていました。

(『風、薫る』/(c)NHK)

文は冷静でスンとした人なのかと思っていたら、美津さんや卯三郎さんと楽しく笑ってしまうようなところもあり、つかみどころがない人。直美が自分の娘だということも「ここで気づいた」というはっきりとしたポイントはないんですよね。

自分のことを語らないと決めている人で疑問が生じても深掘りせず、フワッとそのまま置いておくようなところがある気がします。「まさか……」が重なって「やっぱりそうなのか」と受け入れた感覚。

人生の辛酸をなめてきた文は「こういう現実ってあるんだよね」と、娘との再会という奇跡的な偶然も妙に静かに受け入れられたのだと思います。

今まで演じたことのないタイプの役でしたが、気づいたら自分の中に文という人間がはっきりといた。そんな役作りは初めてでおもしろく、私にとって特別な役になりました。