実は、墓碑もずいぶん傷んできており、修繕しておきたいのですが、史跡指定(※)を受けているので東京都の許可が必要になります。

東京都の史跡指定となっているのは、「徳川慶喜の墓」のみ。そのお墓と周囲の管理にかかる費用の半分は負担してくださりますが、墓地全体というわけにはいきません。

もともと個人の力で管理を続けていくのは難しい規模の墓地ですが、その管理を家から切り離し、しかるべき機関に所有権と祭祀承継権をお渡しすること。それが今回の墓じまいです。

土地の所有者である寛永寺にお願いできればと安易に考えていましたが、宗教の違いもあり、委譲となると管理費の請求も相当な金額になるとのこと。そうなると、継続的に支払いを担う人が必要となり、墓じまいとはなりません。

徳川家にとっては、墓地の維持ということが非常に大きな課題でした。高松宮妃殿下がご存命の時には、何かと手助けしてくださったのですが、今はあちらの世界にいってしまわれたので、残された私に大きな課題が突きつけられることになりました。

 

※東京都指定史跡:「東京都指定文化財」としては、建造物や絵画などの有形文化財、芸能などの無形文化財などさまざまな項目があるが、徳川慶喜の墓所は「史跡」として指定を受けている。

 

葵の紋を継ぎまして。』(山岸美喜:著/KADOKAWA)