「僕も人には遺言書を勧めておきながら、自分ではまだ準備できていないんです。妻にせっつかれて机に向かうのだけど、どうも気が重くなってしまう。」(生島さん)

元気じゃないと遺言書は書けないから

生島 僕は過去に多額の借金を背負ったのを機に、お金の専門的な知識を持とうとファイナンシャルプランナーの資格を取りました。最近では友人が相続トラブルに遭ったことから、人生後半のマネープランや相続についても勉強しています。

以来ことあるごとに、「家族が困らないために最低限の情報=相続リテラシーを持とう」と話をしていますが、特にお勧めしているのが遺言書。還暦を過ぎたら、たとえば毎年のお正月に自分の財産を一覧表にし、通帳や証書の保管場所、財産を家族にどう分けて残すかを書面にして家族にも見せておきましょう、と。

梅宮 すごく大事なことだと思います。美食家でお酒も大好きだった父は、若い頃から糖尿病を患っていました。70歳を過ぎてからは6度のがん手術も経験して、いつ何があるかわからない状態でした。ですから私や母は2年ほど前から「箇条書きでもいいから何か書き残しておいて」と頼んでいたのですが、父は「わかったわかった」と口約束ばかり。母いわく、書斎で何か一生懸命書いていると思っていたら、自慢の料理のレシピをまとめていただけだったと。(笑)

生島 男って、そうなんだよねえ。僕も人には遺言書を勧めておきながら、自分ではまだ準備できていないんです。妻にせっつかれて机に向かうのだけど、どうも気が重くなってしまう。

梅宮 いざとなったら書こうって思うんでしょう。でもね、元気じゃないと無理なんです。遺言書はおろか、いよいよ体調が危うくなった時に「病院の支払いもあるから、私の口座に少しお金を移してくれない?」と言ったんです。そうしたら父が鬼のような形相で、「俺の金を使う気かー!」って怒鳴ったの。

生島 えっ、あの梅宮さんが?

梅宮 昨年の1月に腎盂・尿管がんで左の腎臓を摘出してから透析治療を始めたのですが、それから父はすっかり人が変わってしまいました。アクティブに世界中を飛び回って釣りをしてきた人が、週3回、4時間も病院のベッドから動けないことが相当つらかったんだと思います。母の体調も悪かったので毎週末に真鶴まで通っていたのですが、私が玄関を開けると、「呼んでもないのに、何しに来た」ってすごく冷たい声で言うの。

生島 昔の男らしくカッコいい自分、強くて優しい父親のままでいられないギャップに梅宮さん自身も苦しんでいたんだろうなあ。

梅宮 家族でもタレントさんでも、それこそ街を歩いている人でも、とにかく元気な人を見るとイライラするみたいでした。でも持病を抱えながら、自作の料理には盛大に塩を振り、国産の甘い甘いフルーツを食べ続けたのは父自身なんですよね。健康に気をつけないのだったら、せめて残される家族のことはもう少し気遣ってほしかったと思います。

生島 僕もライザップを卒業してからだいぶ太ってしまったし、好物のカリントウを控えるようにしなくちゃいけないな。(笑)