終の棲家で人生をともに歩む
現在、彼が93歳で、私は80歳。私たちの年齢で住まいを見直すとき、先々を見据えて夫婦で高齢者住宅に入るケースもありますが、私たちにその選択肢は考えられませんでした。
4年前に私と結婚していなければ、先生は今もきっと登戸の家で、娘夫婦と一つ屋根の下で暮らしていたでしょう。再婚したことで、結果的に娘と距離が生まれてしまった。それまでどんな局面でも自分より家族を優先させてきた彼にとって、並大抵の覚悟ではなかったと思います。
普段、私たちは娘のことを話題にはしないけれど、忘れているわけではないんです。毎日、彼も楽しそうで、思い悩む素振りは見せませんが、今でも心の奥底では娘に会いたいのでは……と思って、かわいそうになることも。
先生は、決して娘と離れたかったわけじゃないけど、そうせざるをえなかった。だから私たちは、その悲しみを片方の手に抱えながら、これからの人生をともに歩んでいくと決めました。