テレビの芸能人は「学校」から生まれる
面白いのは、アイドル以外にも、テレビが普及してから生まれた芸能界の人気者が野球や宝塚歌劇団と同じく「学校」のイメージから誕生しているところである(1)。
1960年代半ば、芸能事務所の渡辺プロダクションは「スクールメイツ」というグループを結成するために新人を発掘しようと、芸能スクールを創設する。東京音楽学院を開設し、そのなかで優秀な生徒を集めてグループを結成したのである。ここから森進一、布施明、キャンディーズといったスターは、歌って踊れる若者として、テレビの人気者になっていく。彼らはあくまで初期は「生徒」というイメージを背負って、テレビに登場するようになったのである。
そして1970年代には『スター誕生!』(日本テレビ)が生まれた。
1980年代には、吉本興業がNSC(吉本総合芸能学院)を生み出した。それまでは師匠に弟子入りしカバン持ちを数年こなすのが通例だったのに対し、NSCは入学金と授業料を払えば誰でもお笑いを学べる場を提供する。ダウンタウンが輩出したことにより、お笑い芸人が特別なストリートのたたき上げというよりは、「同期」「先輩」といった言葉で呼び合う、吉本という学校のなかの生徒であることが強調されるようになる。
同時期、おニャン子クラブがセーラー服というモチーフを利用したことを覚えている方も多いだろう。1985年に始まった『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系列)から生まれたこのグループは、彼女たちの普段いる場が「学校」であることを強調した。学校から帰宅する時間に放送され、部活動の延長線上のようなアマチュアであることが繰り返し述べられる。
(1)周東美材『「未熟さ」の系譜 宝塚からジャニーズまで』新潮選書、2022年
