今回の企画が決まって一緒に食事をしたときに彼女が僕に言ったのは、「一回も楽屋に引っ込めないけどいい?」でした。「いいよ」と答えると、「それと、ずっとしゃべってるけどいい?」。
僕はもう「いいよ。何でもいいよ」。だって、役者ならずっと舞台に出ていたいじゃない。台詞だって多いほうがいいでしょ。
それに、役者がラクにやっている芝居は観ていてつまらないと思うの。ある意味、非日常を味わいたくて劇場に足を運ぶんだから。やっぱり、傷ついたり、苦しんだり、死ぬような思いをしたり、愛したり、憎んだり、そういうふうに心が大きく動くものじゃなきゃ面白くない。
だから、えりさんには激しいものを書いてほしい。彼女の演出が細かくてしつこいというのも聞いているけど(笑)、そのほうが僕はむしろ嬉しいんだよ。お客様に満足してもらえるものを作るには、大変な思いをするのは当たり前なんだから。
この間、『プライマ・フェイシィ』という三浦透子さんの一人芝居を観に行ったのだけど、本当に大変なことをなさっていた。
演出の栗山民也さんの紹介でご本人に会ったとき、「拝見して鳥肌が立っています。こんな作品を演じられるなんて役者冥利に尽きますね」と言ったの。今回もそういう作品を作りたい。