幸村を討て
『幸村を討て』はお客さまが徳川家康と同じ視点で物語を追いながら、真田幸村という人物の謎を解いていく作品。そこに歌やダンスが加わることで、歴史ミステリーでありながらレビューの魅力も存分に味わっていただけます。
そもそも原作は単行本と文庫でそれぞれ500ページ以上ある分厚い作品。それをよくギュッと台本に凝縮できたね、というぐらい濃密で……。原作は文章の中に伏線が散りばめられているので、お客様に必要な情報がしっかり伝わるよう、できあがった台本も細かく手直しを重ねました。
ただ凝縮されている分、家康はセリフが多く、過去演じた役の中でも最長です。台本の自分のセリフに線を引いてみると、ずーっと線を引いていて、自分の出番がなかなか終わらない。家康はあまり動かない役なのに、お芝居でこんなに汗かいたことない、ってくらい汗をかくんです。(笑)
家康は少し癖をつけて役づくりをしているので入りやすいのですが、幸村は快活でまっすぐな人物。だからこそ、逆に余計なものを足さず、真正面から演じなければいけない難しさがあります。しかも今回の原作では、そのまっすぐさに加えてミステリアスな一面も描かれている。その二つをどう同居させるかが、とても難しいですね。
ポスターだと私が家康と幸村だとわからないですか? それはいっちゃんうれしいです(笑)。お稽古が休みの日に家にこもってメイクの研究をして、演出の北林佐和子先生と方向性を決めました。ポスターのメイクは全部自分でしているんです。
歌劇はスターを見に行くことが目的の方が多いと思いますが、今回は翼和希が演じる家康や幸村ではなく、家康と幸村がその作品の中で生きている姿を見ていただきたいんです。だから「そうやった、翼さんが幸村やってたわ」ぐらいでいいと思っていて。
真田家の名を後世へ残すため、兄・信之が徳川方に、弟・幸村が豊臣方に分かれ、命を懸けて戦った姿は、劇団を未来へ残したいと思っている自分と重なる部分があるんです。創立104周年と言っても、OSKはまだまだちっちゃい劇団です。エンタメの世界は流行り廃りが早いですし、その中で皆さまに愛し続けてもらえる劇団になるためには、進化し続けなきゃいけない。お客さんの心をつかむことができるか、毎回死に物狂いです。
それでも「元気をもらいました」「また頑張れます」とお客様に言っていただけることが、本当に励みになっているんです。『幸村を討て』もOSKだからこそ届けられる新しい歴史劇として、多くの方の心に残る作品にしたいですね。







