そして、新しい教室で初めて着物を着た日。私は感動した。前の教室とは、まるで着方が違った。

紐をほとんど使わない。苦しくない。着やすい。

こんな着方があるんだ。これはすごいぞ、と思った。

昔の自分を思い出して泣いたわけでもない。一度諦めた夢がどうこう、なんて考えたわけでもない。ただ純粋に、着付けが楽しかった。

私は50歳になった。歳は、あの頃からちゃんと毎年とった。

今から先生を目指して間に合うのかは分からない。先生になったところで、それを仕事にできるのかも分からない。

相変わらず、子どもの予定は確認する。仕事も家事もある。それでも今、週に一度、私は着物を着ている。

あの頃の私は、自分の人生の順番がなかなか回ってこないと思っていた。でも、もしかしたら順番なんて、最初からなかったのかもしれない。

子どもが大きくなったら。
お金に余裕ができたら。
時間ができたら。

そうやって待っていても、きっと何かしら事情はある。50歳の私にも、事情はたくさんある。

だから今度は、一旦諦めなくてもいいところまで行ってみたい。先生になれるかどうかは、まだ分からない。

でも、私の順番はいつですか、と待つのはもうやめようと思っている。

 

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